緊張する原因とは
場慣れしていない
一度のきっかけで人前が怖くなり、同じような場面を避け続けてしまうため、人間に慣れていない人がほとんどです。
「人前で緊張する」という人に、「これまで人前で何回スピーチしたことがあるか尋ねてみると、ほとんどないことが多いのです。
「やったことがなければ緊張する」。
当然のことなのですが、人前で恥をかきたくない、人に弱みを見せたくないという気持ちが無意識に働いてしまうのが、緊張しやすい人の特徴です。
プレッシャーを感じたとき
知らない人の前よりも、知っている人の前、特に会社の上司や同僚、部下の前だと緊張してしまうという人も多いようです。
仕事などの評価に直接響く場合、より強くプレッシャーを感じるからです。
たとえば、学校の先生に多いケースとして、児童・生徒の前ではまったく緊張しないのですが、父兄参観になると途端に緊張するという方も少なくありません。
話す内容が同じでも、対象や状況が違うとき、また人の評価が気になるときなどは緊張感が増すのは当然のことです。
準備・練習不足
当然ですが、内容に自信がないと不安が増します。
しかし、緊張しやすい人に限って、準備・練習をしない人が多いのも事実。
「練習すると、当日の場面を思い出して、かえって緊張しちゃう・・・」
「内容を考えていくと、頭が真っ白になってしまったとき困るから、できればノープランで行きたい・・・」
気持ちはわかりますが、これではなかなかうまく行かないでしょう。
本番より辛くて長いのは「待ち時間」
過去に経験した恐怖やトラウマから、そのことを考えるだけで不安を感じてしまうことを「予期不安」といいます。
あがり症だけでなく、高所恐怖症や先端恐怖症など多くの恐怖症も、この予期不安によるものです。
実は、本番より長くて辛いのがこの「予期不安」。
たとえば、半年後に100名の前で5分間、発表しなくてはならなくなったとします。
実際に発表するのはほんの5分でも、それまでの半年間、ご飯が喉を通らなかったり、眠れなかったりと、いつも不安を抱えて暮らしていくことに。
たいていの場合は、待ち時間>発表時間。
この本番までの長い時間をどう過ごしていくかが、緊張と上手く付き合うための方法といってもいいでしょう。
予期不安は、考えれば考えるほど大きくなり、行動すればするほど小さくなるという特徴があります。
想像してみてください。
ここに幅60センチ、長さ5メートルの板があります。
それを床に置いた状態で、歩いて渡ることは簡単にできますよね。
では、その板を、10階建てのビルからビルへ渡した場合はどうでしょうか?
考えただけで震えてきてしまい、渡ることはできないでしょう。
想像が行動を制限してしまうこと、これを「エミール・クーエの法則」といいます。
豊かな想像力は、時に「できる」を「できない」にしてしまうのです。
人間の想像力はいい意味でも悪い意味でも無限大。
緊張で悩んでいる方は、この想像力を悪い方へ使ってしまいがちです。
思い詰めれば詰めるほど最悪のパターンを想定し、やがて事実とかけ離れた結末を思い描いてしまうのです。
実際にはいないオバケを思い描き、想像すればするほど、どんどん恐怖が大きくなってしまうのと同じように。