緊張は薬で治る? - あがり症・話しベタさんのためのスピーチ塾

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緊張は薬で治る?

緊張は薬で治る?

あがり症とSAD

「あがり症」自体は正式な病名ではなく、いわゆる通称です。

「あがる(上がる)」という言葉を辞書で引くと、「《血が頭にのぼる意から》のぼせて平常心を失う」と出てきます。

対人場面での恐怖・不安が強く、日常生活に支障をきたす(人と食事できない、電車に乗れない等)場合は、心療内科で「社交不安障害(SAD=Social Anxiety Disorder)」の診断がつき、薬物療法による治療を行うケースもあります。

ですが、一般的に大勢の人の前や改まった場所に出ると緊張するということ自体は、ごく自然なことであり、薬に頼らなくても十分改善できると考えます。

(※日本では英語を直訳した「社会不安障害」と呼ばれていましたが、「社会不安」という言葉には誤解も多いことから、2008年に日本精神神経学会において、より実態に近い表現の「社交不安障害」という名称に変更されました)

ただし、過度の緊張、ストレス状態が長く続くと、自律神経のバランスが乱れ、体調悪化を招くことは考えられますので、できるだけ放置せず、早めに対処することが大切です。

緊張しているとき、体では何が起きているか

緊張すると、「声が震える」「手足が震える」「汗をかく」「赤面する」「頭が真っ白になる」etc・・・の症状が出てきます。

こうなってしまうと、つい、「自分は病気なんじゃないか」と思ってしまいますが、これらは決して異常な症状ではありません。

人は不安や恐怖を感じると、神経伝達物質「ノルアドレナリン」が血液中に多量に分泌され、自律神経のうちの交感神経を刺激します。

すると心拍数や血圧、体温などが急上昇します。

体温を下げるために汗をかき、筋肉が硬直することにより震えが起きてきます。

消化機能が抑えられるため、食欲は無くなってきます。

これらはすなわち、体が戦闘体勢に入るということです。

たとえば、動物は外敵から身を守るために、危険を察知すると周りの動きに集中し、全身を硬直させ、素早い行動ができるよう対応します。

この本能がなければ、たちまち命の危険にさらされてしまうのです。

人も同じ。

人前はある意味「危険が差し迫った状態」ですが、交感神経が優位に立つことで、集中力・身体能力を高め、

パフォーマンス向上へとつながります。

私たちの体はとてもよくできています。

あがりの症状は、異常でも病気でもなく、ここ一番という場面に遭遇したあなたの心と体を助け、応援してくれようとする自己防衛本能なのです。

緊張を抑える薬

一般的なケースになりますが、あがり症の方が心療内科に通った場合、社会(社交)不安障害(SAD)と診断され、以下のような薬が処方されます。

抗うつ薬の選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI:Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)

<薬剤名>

パキシル、デプロメール、ルボックス、ジェイゾロフトなど

<作用>

セロトニンは精神を安定させる作用がある脳内の神経伝達物質ですが、この薬はセロトニンが減少するのを抑えることで、不安や恐怖などのあがりの症状を改善する薬です。

効果発現に1~2週間ほどかかります。

抗不安薬(ベンゾジアゼピン系抗不安薬)

<薬剤名>

デパス、ソラナックス、コンスタン、ワイパックス、レキソタン、メイラックス、レスタスなど

<作用>

この薬は、脳の中の感情をコントロールしている部分に作用し、神経の過度な興奮を抑える物質ガンマ・アミノ酪酸(GABA)の働きを高めることにより、気持ちを落ち着かせたり、緊張や不安をやわらげる薬です。

第一選択薬はSSRIですが、SSRIの効果が発現するまでの期間など、頓服で使用されるケースが多いです。

その他

βブロッカーと呼ばれる、高血圧・狭心症・不整脈に用いられる薬<薬剤名 ミケラン>が処方されることもあります。震えや動悸などの症状を改善する薬ですが、低血圧や喘息の方には使えません。

薬物療法が効果的なケースもありますが、あくまで対処療法であり、また副作用もあります。

人前で緊張すること自体は病気ではありませんので、できれば薬に頼らず、長期的に改善される方法をお勧めします。

次ページ以降では、日常生活で出来る緊張解消法をお伝えします。


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